視覚障害者はどうすればパソコンを使えるのか?

 目が見えない人がパソコンを使おうとしたとき、どんなことが困るでしょうか?考えてみましょう。
 そうです、まず真っ先に考えなければならないことは、画面が見えないということです。もうひとつは画面が見えないとマウスが使えないのです。
 さて、これらの問題を解決するためにはどうすればいいでしょうか?
 もったいぶらずに結論を言うと、画面は誰かに読んでもらえばいい、そしてマウスは使わないでキーボードを使えばいいのです。(もちろん本物のブラインドタッチができないときついですけど)
 さて、画面を誰かに読んでもらうといっても、彼女のいないTomG君です、常に画面を読んでくれるやさしい人がいるわけではありません。そこで、何も画面を読んでくれるのは人間じゃなくてもいいわけですね。そうです、ここまでパソコンが頭がいい道具なんですから、画面を読んでくれるソフトを使えばいいわけです。
この画面を読んでくれるソフトのことを「スクリーンリーダー」といいます。

 Windowsの画面を読み上げてくれるスクリーンリーダーにはいくつかの種類がありますが、何せWindowsそのものが画像をたくさん使っているOSですから、全ての画面が音声に変わるわけではありません。実は音声に変わるのは画面の中でも文字として読み取れる部分(テキスト部分)だけなのです。
ですからもちろん使えないソフトもかなりあります。というか使えるソフトのほうが少ないんです。
ですから視覚障害者がパソコンで何かしたいと思ったとき、そのためのソフトがたくさんあったとしても、その中でこの「スクリーンリーダー」を使って音声で利用できるものを捜さなければならないのです。
 しかし、スクリーンリーダーも数年前に比べてかなり開発が進み、使えるソフトもどんどん増えてきています。

スクリーンリーダーの種類

 ここでは現在発売されている代表的なスクリーンリーダーをご紹介します。

95Reader(98Reader・2000Reader)

 このスクリーンリーダーは、障害者職業総合センターというところが開発し、それを栃木県にある「システムソリューションセンター栃木」が製品化したものです。
 Windows95では95Reader、Windows98では98Reader、Windows2000では2000Readerを使用します。
 特に95Readerは、日本で最初に発売されたWindows用のスクリーンリーダーです。ですからこの95Readerが1996年に発売されるまでは、視覚障害者はMS-DOSを利用していたというわけです。
 95Readerでは、マイクロソフトのExcel95とWord95が使えたらしいですが、私はこのころあまりパソコンを使っていなかったので詳しくは分かりません。しかし、全てのExcelの全ての機能が利用できたのではなく、普通の人が使っている機能がちょっと利用できる様に作られていたらしいです。
 次に発売された98Readerでは、Excel97とWord98が使えました。これはTomG君ももっていましたので大体は分かります。
 それでは音声でどうやって表を書くのかというと、上下左右のカーソルキーを動かしていくと「A1」、「A2」などの様に音声でセル位置をしゃべってくれるのです。
 次に2000Readerというのも発売され、多くの視覚障害者が現在この2000Readerを使っています。もちろんTomG君の様に他のスクリーンリーダーが好きな人もたくさんいます。
 ちなみに2000Readerは、Windows2000/98のどちらでも動きます。それからWindows MEと2000Readerは愛称がよくないという話を聞いたことがありますが、TomGはWindows98ユーザーなので確かなことは分かりません。  このスクリーンリーダーについてもっと詳しく知りたい方は、
SSCTのホームページをご覧ください。
なお、2002年7月に、WindowsXPに対応したバージョンである「XPReader」が発売されております。

PC-Talker/VDM100W

 このスクリーンリーダーは、株式会社高知システム開発が開発したスクリーンリーダーで、Windows98と同時に発売されました。
 PC-Talkerにはオリジナルのものと、MS-DOSのスクリーンリーダーVDM100シリーズの操作性を継承したVDM100W-PC-Talkerの2種類があります。機能的にはどちらも変わりませんが、操作方法が若干違います。
 このPC-Talkerは、発売当初音声化できるソフトがほとんどなかったため、非常に使いにくく、読み上げの能力もあまり優れているとはいえない代物でした。
 しかし、そんなことを行っていたのはVer2.Xの時期だけで、3.0がリリースされてから画面読み上げの能力もどんどん高くなり、今では2000Readerよりも使えるソフトが多くなってしまったほどです。
 現在のバージョンのPC-Talkerでは、 などさまざまな一般ソフトが使えます。
 なんと言っても私がもっともお世話になっているのは、インターネットエクスプローラの音声化機能です。しかもPC-Talkerは、英語のホームページを日本語に翻訳して読み上げる「翻訳読み機能」まで搭載しているのです。もちろんTomG君愛用のスクリーンリーダーです。
なお、PC-Talkerは、Windows95・98・2000・ME・XPとほとんどのWindowsに対応しています。ご利用のWindowsによって、製品が異なりますので、ご購入の際に間違えないようにご注意ください。Windows95では「PC-Talkerバージョン3以下」、Windows98・MEでは「PC-Talkerバージョン5(2002年9月2日現在)」、Windows2000では「PC-Talker2000」、WindowsXPでは「PC-TalkerXP」を利用します。
 PC-Talkerについて詳しく知りたい方は、
高知システム開発のホームページをご覧ください。PC-Talkerがどんな声でしゃべってくれるのか、見本の音声を聞くこともできます。体験版もこちらからダウンロードできます。
 またこのサイトでもPC-Talkerを用いてTomGが実際にパソコンを操作する様子をお聞きいただくことができます。
お暇な方はぜひ
試聴コーナーで聞いていってくださいね。

OutSpoken

 OutSpokenは、もともとオランダのAlva社が開発した物を、名古屋の富士通中部システムズと静岡県立大学教授の石川先生が日本語化した者です。
なお、とても残念なことですが、2002年5月に開発元のAlva社が、スクリーンリーダーの開発を中止したため、現在では販売完了となっております。
 特徴としては、非常に画面読みの能力が高く、画面情報を点字に買えてくれる装置「ピンディスプレイ」との連携が強化されているということです。実は上の二つのスクリーンリーダーもピンディスプレイには対応していますが、ここまでしっかりと対応しているのはこれだけではないでしょうか?
 それからOutSpokenでは、上記二つのスクリーンリーダーで利用できなかったソフトも利用できますが、画面読みの能力が高すぎて余計なところまで読んでしまったり、操作が難しかったりと扱いがとても困難です。しかし、使い方さえ覚えてしまえばかなり役に立ってくれます。
 このスクリーンリーダーについて詳しく知りたい方は、 富士通中部システムズのホームページをご覧ください。
 ちなみに体験版もこちらからダウンロードできますので、よかったら試してみてください。

JAWS

 このスクリーンリーダーも上のOutSpokenと同じく外国生まれのスクリーンリーダーです。もともとアメリカのヘンタージョイス社が開発したものを日本IBMが日本語化したものです。今年の6月に発売された新しいスクリーンリーダーです。
 特徴としてはもちろん画面読みの能力が非常に高く、アプリケーションごとにスクリプトを作成することで、読み上げる内容をカスタマイズすることができます。
 ですから本当は画面読みが難しいソフトであっても、このスクリーンリーダー用のスクリプトを作成すれば、音声での利用ができるかもしれません。実際外国ではこのスクリプトを作って販売している会社もあるらしいです。
 JAWSではこれまで難しかったExcelでの円グラフの作成や、Wordでの文字情報(サイズや色など)の読み上げ、文書エラーやスペルチェックのエラーの読み上げなども可能になっていますから、働く視覚障害者にとってはなくてはならないアイテムだと思います。
 しかし、高機能なだけあって操作は難しく、ある程度Windowsに熟練した上級者でないと使いこなすのはちょっと難しいかもしれません。
 ちなみに値段的にも一番高いスクリーンリーダーです。
 えっ、TomG持ってるのかって?もちろん貧乏な私は変えません。だって100000円もするんです。 なお、2002年9月2日現在、日本語版JAWSはWindowsXPには対応しておりません。
 このスクリーンリーダーについて詳しく知りたい方は、こちらのIBMのページをご覧ください。

WinVoice


 このスクリーンリーダーは点字ディスプレイ表示に強いスクリーンリーダーで、上で紹介した98Readerをニュー・ブレイル・システム株式会社がカスタマイズした者です。このスクリーンリーダーは2002年9月2日現在、発売予定の状態で、先ほどメーカーさんに確認してみましたところ、後2週間程度で出荷が開始されるとのお話でした。
ということで詳しく分かりましたらここでも書いてみたいと思いますので今しばらくお待ちください。

ちょっと遊んでみませんか?

 上にいくつかスクリーンリーダーをご紹介しましたが、これらのスクリーンリーダーがなくてもパソコンを「おしゃべりパソコン」にして遊ぶことぐらいはできるんです。以下に面白いそふとをひとつご紹介しますので、せっかくですから遊んでみましょう!!

テキスト読み上げツール

 クリップボードにコピーした文字を読み上げてくれるフリーソフトです。
 音声のスピードは好みにおおじて設定できます。
音声出力にはマイクロソフトの「Text-to-Speech Engine」を利用しています。
遊んでみたい人は、作者のページを覗いてみてください。

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