マイクロ総合研究所「NetGenesis SuperOPT100」を導入してみました


はじめに


 以前私はこのページに、Planex社製のルータ「BLW04FM」のレポートを掲載したことが在る。
無線LAN機能もついているし、設定画面はなかなか使いやすいし、何よりもPCデータベースといって、DHCPサーバがアドレスを割り当てたPCを自動的にルータに登録してくれる機能などがあり、ポートフォワーディングの設定もこのおかげで選択ボックスから対象のPCを選んであけたいポートを指定するだけ。
こんな具合に私にとってこいつはかなりお気に入りの代物だった。
しかし、このルータを導入したときから、Windowsメッセンジャーの音声チャットに不具合が出るようになった。
具体的にはこちらから音声チャットに招待するメッセージを送信した場合、相手が幾ら承諾してくれても接続が失敗してしまうのである。「
そのたびに相手に「そっちから呼んで」とお願いしなければならない状態で、これはなかなか不便だ。
これがファイル転送などの機能に関する不具合ならば何とか見逃すことができるのだが、私がもっとも利用する音声チャット機能に不具合があるのがとても気に入らなくなってきた。
それに、12月末に購入したSipフォンという電話機も、このルータにつなぐと相手の声が聞こえない不具合が発生する。
どうやらこのルータはSipプロトコルと基本的に相性が悪いらしいことに気がついた。
そのとたんに今までとても気に入っていたこのルータが逆に大嫌いになり、この際もっといいルータがほしくなってきた。

製品選び


 さて、そうと決まったら早速製品選びだ。
前にも似たようなことを書いたが、ブロードバンドルータの世界は現在競争が活発だ。
複数のプロバイダに同時に接続できるPPPOEマルチセッション、インターネット側からLAN側にアクセスできるVPNゲートウェイ機能などを初めとして、USBポートを装備し、ネットワークカメラやハードディスクを接続できる製品まである。
しかし、私の使っているプロバイダUSENはPPPOEを使用しないこと、インターネット側からLAN側にアクセスする機会は余り無いこと、ハードディスクはNASを別に持っていることなど、これらの機能は私にとって余り魅力的には移らなかった。
それよりも動作が安定していて、複数の固定IPアドレスを上手に利用できて、Sipプロトコルとの相性がいいものを選びたかった。
そこでいろいろと探した結果、マイクロ総合研究所の「NetGenesis SuperOPT100」が動作も安定しており、ファイヤウォールの設定などのセキュリティ機能も充実していて評判がいい事がわかった。
このルータについているポートベース優先度を設定できるQOS機能とか、ポートごとに速度制限の設定ができる機能などがなぜか面白そうに見えたのもこれを選んだ理由の一つだ。
それとこのルータ、VLAN機能がなかなかすばらしい。VLAN機能とは、ルータのLAN側のポートをグループに分類して、同じグループに所属するパソコン同士での通信のみ可能にする機能だ。ほとんどの製品でひとつのLANポートはひとつのグループにしか所属できないのだが、OPT100ではひとつのLANポートを複数のグループに所属させることができる。
これは自宅のLAN内にサーバなどを設置する際にとても便利だ。
たとえばサーバグループとクライアントグループにポートを分類し、サーバグループにはサーバとNASを所属させ、クライアントグループにはその他のPCとNASを所属させる。
このサーバがWebサーバであった場合、サーバ側でNASをネットワークドライブとして割り当て、その中のフォルダをWebサーバのドキュメントルートに設定する。
そしてクライアントPC側でも同じNASのフォルダをネットワークドライブとして割り当てる。
こうすればWebページの更新はローカルファイルを操作するのと同じ感覚で行うことができ、エディタで保存した瞬間に更新完了である。
また、万が一サーバに進入されたりした場合でも、影響を受けるのはサーバとNASのみであり、クライアントには影響は無い。
 サーバ構築を行いたいと考えている私にはこれはもってこいの機能だ。
ということで早速安い店を探して購入することにした。
ちなみに今回の購入価格は16200円。消費税や送料などを含めると17535円だった。まぁメーカーサイトでの価格が19800円だからそこそこな成績だろう。

早速使ってみる


 早速届いたルータを箱から出してみると、値段のわりにはプラスティックの結構安物に見えるボディだ。
以前のマイクロ総研のルーたが確か金属製のがっちりしたネットワーク機器らしいボディだったのを考えるとちょっとがっかりだ。
でも、ルータは格好じゃない、性能であると自分を慰めつつも次に進もう。
このルータは付属のスタンドを用いた縦置きも可能になっている。
私の印象ではどちらかというと縦置きで利用したほうが自然に見える。
電源は他のルータ同様ちょっと大きめのACアダプターを利用するが、10センチ程度のショートコードが着いているので余計なコンセントまで占有されるといったことはない。
アダプターのジャックがある側を下にした形で縦置きすると、アダプターのジャックの隣にアースを取り付けるねじが在る。
そしてその上にあるのがWANポートである。その上に4つのLANポートがあるが、WANポートとLANポートの間は少し隙間が空いているのでわかりやすい。
 それでは早速WANポートにメディアコンバータを接続して、メインのPCをLANポートのひとつに接続して初期設定開始である。
とはいっても実はこれ、何も設定しなくても私の環境ではインターネットに問題なく接続できてしまった。
これはYahooBBとか各種ケーブルテレビなどPPPOEを使用しないプロバイダの特徴だ。
つまりデフォルトの状態は、DHCPでWAN側のIPアドレスを取得する設定になっている。
でもUSENは、IPアドレスを固定で5個割り振ってくれるので、この状態ではもったいない。
そこでブラウザを立ち上げ、ルータの向上出荷地のIPアドレス「192.168.0.1」を入力して設定画面を開いて設定開始だ。
ユーザー名とパスワードを入力するボックスが開くので、ユーザー名に「admin」、パスワードには何も入力しないでOKを押すと設定画面が開く。
このルータの設定画面は原則二つのフレームから構成されており、1フレームで設定したい項目をクリックすると、2フレーム目に設定項目が現れる。
もらった5個のIPアドレスを活用するためには、まずモード設定メニューを開き、「PPPOE認証が不要なプロバイダ」の中にある「IPアドレス固定(1〜16個)」にチェックを入れて「選択したモードの詳細設定へ」ボタンを押して現れる画面に必要な項目を入力し、設定ボタンを押す。
入力方法など詳しくは付属CDROMのマニュアルをご覧いただきたい。
その後モードの選択画面になるのでもう一度蒸気の項目にチェックをつけて、設定ボタンを押す。
 一般的なルータならこれで再起動して設定完了なのだが、このルータはちょっと違う。設定メニューの中にある「設定の更新」をクリックして明示的に設定した内容を保存してから再起動する必要があるのだ。
これを忘れてアダプターを抜いて再起動した場合には、設定した内容が消えてしまうので注意が必要だ。
また、このルータには「設定バックアップ・初期化」というメニューがある。
これも一般的なルータに搭載されているものとはちょっと異なり、LANポートの設定とWANポートに関する設定、そしてHUBポートに関する設定をそれぞれ別に初期化できる。
面白そうだと思って適当に弄くり回してしまい初期設定に戻したいときでも、必要な部分だけ初期化出来て設定をすべてやり直す必要が無いので便利だ。
実際私は、HUBポートの設定で速度制限などいろいろと試しておかしくなってしまったため、HUBの設定を初期化したことがある。
 このルータのファイヤウォール機能もすごい。
送信元IPアドレスやパケットの向きを指定して通信をブロックすることができるのはもちろん、私にはよくわからないのだが、TCPのフラグまで設定できる。
もしかするとこのルータ、中規模オフィスのネットワーク設計にも耐えられるのではないかとも思ってしまうほどだ。
 動作の安定性についてもかなり優秀で、帯域を多く消費するアプリケーションを複数利用している状態でも3ヶ月以上ルータがフリーズするといったことは発生しなかった。
また、以前のPlanexのルータでは時間がかかっていたネットワークドライブを開く動作もかなりスムーズだ。
NASへのアクセスが遅い(ネットワークドライブが開くのが遅い)のはある意味こんなものだと思っていただけに、これは結構うれしかった。
 しかし、その一方Windowsメッセンジャーのファイル転送が失敗するという問題がある。
ルータの設定などいろいろと変更してみたのだが、まったく改善される様子が無い。
また、このルータにはマックアドレスを元にDHCPサーバから特定のIPアドレスを配布する機能が無い。
このためIPアドレスを固定したいPCは、ネットワークとダイヤルアップ接続→ローカルエリア接続のプロパティを開いて手動で設定してあげなければならない。
 また、Windowsメッセンジャーの音声チャットを使っている途中、内部に設置されているFTPサーバーにインターネット側からアクセス出来ないと言う現象も発生する。
音声チャットを愛用している私としては、これは致命的な問題だ。
安定性も機能性もある意味抜群なだけにこのあたりちょっと残念なところだ。
今後のファームウェアバージョンアップで改善してくれるとありがたいのだが。


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