ユニットバスを快適にするための使い方


始めに


 湯につかっての入浴は、日本人が数百年も前から営んできた大事な週刊である。
身体の力を抜いて、肩まで温かな湯につかり、その日の疲れを癒やし、明日への活力を養う子の週間は、多くの日本人にとっての至福の時である。
しかし、一人暮らしを想定して作られた賃貸物件の浴室は、浴室とトイレと洗面所が同じスペースに詰め込まれているのみならず、洗い場に至ってはそのスペースがトイレと強要である。
☆注☆本校では、蒸気のような浴室ともトイレとも洗面所とも称するに足りないスペースを、「ユニットバス」と表記する。

このような設計は、浴室をはじめとするそれらに要するスペースを節約し、一個あたりの部屋数を増やすには大変合理的な方法ではあるが、一般的な日本人の習慣を軽視していると言わざるを得ず、大変嘆かわしいと感じる。
このような思いを抱いている人は筆者が考えているよりも多いようで、拙稿の「ユニットバス利用の心構え」は、本サイトのアクセス数ランキングにおいて、常に首位の座を獲得している。
しかしながら、この「ユニットバス利用の心構え」は、2003年に筆者が上京した当時執筆した物であり、文章が未熟であることと、それから数年経った今、いくつかの修正すべき点を見いだしたため、再考の上、執筆し直すこととしたのが本稿である。

ユニットバスの問題点


その1:精神衛生上の清潔感を確保できない


 体を洗い清める”浴室”と、体の中から出る排泄物を捨てる場所である”トイレ”が同じスペースであるということは、精神衛生上決して良いとは言えない。
例えば、自分もしくは訪れた客が、トイレに入った後入浴をしようとすると、排泄物の臭いをかぎながら、入浴しなければならず、それを避けようとすると、臭いが消えるまでの無駄な時間を費やすことになる。
また、排泄物の臭いを無くしたり、ごまかすために利用されるいわゆる芳香剤の臭いも、入浴中、すぐ傍にトイレの存在を感じるに十分な要素と言えるであろう。

その2:浴室以外のスペースへの水漏れや湿気の対策が困難


 浴室は、湯によって体の汚れを洗い落とす場であり、大量の湯をシャワー上にして放出する。従って、浴室と他のスペースの間に密閉性の高い仕切りを設置しなければ、その大量の水が他のスペースに滲出することになる。しかしながら、この仕切の役割を満たすために設置されているシャワーカーテンは、布やビニールを上からつるしただけの代物であり、水漏れを防止するという目的においては、あまりにも貧弱なシステムと言わざるを得ない。
トイレには、「トイレットペーパー」という、水に触れるとその用とを失ってしまう物が存在する。
トイレットペーパーの重要性についてここで述べるのは差し控えるが、水濡れによってこれが使用できなくなるのは重大な問題である。
また、洗面所にはシェーバーや電動歯ブラシ本体のみならず、それらを充電するための充電器を置いておくのは珍しくないが、これらもすべて、水濡れには強いと言えない物である。
加えて、トイレのスペースに水漏れが発生すると、トイレ用マットや布製のスリッパなど、水濡れによって快適に使用できなくなる物は多数存在する。
トイレスペースへの水漏れを放置した場合、次回利用する人の衣服をぬらしてしまうことも考えられる。

ユニットバスを快適に利用するために

 ユニットバスを快適に利用するためには、上記の二つの問題を解決または軽減する必要がある。また、他に筆者なりに思いついた対策も逢わせて記載するので、参考にして頂きたい。

心構えを変える


 本稿で筆者が問題としている、一つのスペースに浴室とトイレと洗面所を収納する週間は、日本人にはなじみの無い物であるが、欧米ではむしろこれが一般的であると言われている。
これは、浴室に対する考え方が、根本的に違うことに端を発しているわけである。つまり、日本人にとっての浴室は、「身体を清めるところ」であるのに対して、欧米人の考え方は、汚れを落とす、つまり、体にたまった物を「落とす」場所であると考えられていると推測すると、汚れは=体の”排泄物”なので有るからして、このような設計も自然なのだろうか。
そこで、不運にも、引っ越し先がユニットバスだったなどの理由で、自らの意に反してこのようなスペースを利用しなければならなくなってしまったあなたは、この欧米人的な心構えを身につけるのである。つまり、ユニットバスに付けられた湯船とシャワーは、日本的な浴室では無く、「汚れを落とすための場所である」と考えを改めるのである。
欧米人の汚れを落とす場所であるシャワールームには、湯につかる目的で設置された湯船は無い。

湯船を単なる洗い場に改造する


 そこで、ユニットバスの湯船も湯につかる場所では無く、汚れを落とす洗い場であると考え、一般的な洗い場に設置されている物を設置してしまうのだ。
例えば、湯船の中に腰掛けを置く、湯船の内側側面に、吸盤式の石鹸置きなどを設置してしまおう。シャンプーやリンスを置くための台も必要かも知れない。シャンプーやリンスをむやみに湯船の中に転がしておくと、ボトルが垢まみれになってしまうことがあるからだ。
こうすれば、ユニットバスを大変快適な洗い場として利用できる。
なお、これらの対策は、結果的に湯船の外に必要な物を置かないことに繋がり、後に説明する水漏れ防止対策にも有効である。
どうしても湯につかって疲れを癒やしたいと言うことであれば、近くの銭湯の利用も考慮してみよう。

清潔感を確保する


 浴室とトイレが同じスペースに納められている事による精神的な清潔感を確保するのは容易ではないが、筆者が思いつく限りの対策を列記してみよう。

臭い対策を見直す


 まず、トイレの臭いの対策として、強烈な香織を発する消臭剤の使用を止め、入浴剤と似たような臭いのさわやかな物を選択する。
もしくは、臭いを感じなくする手段として、”他のにおいでごまかす”事を止め、臭いそのものを”無くす”というアプローチに切り替える。例えば、小型のオゾン発生器をトイレスペースの隅に設置する、排泄語にこまめに水を流し、便器からの臭いの漏洩をできる限り防止するなどが考えられる。
水漏れの問題からあまり設置されていることは無いが、コンセントが設置されているのであれば、消臭機能付きのウォシュレットシステムを導入するのも効果的であろう。

水漏れ対策を行う


シャワーカーテン


 先ず、水漏れ対策の肝となるのは、湯船とトイレのスペースを隔てているシャワーカーテンである。
浴室を利用する際に、シャワーカーテンを湯船の内側に引いているか、カーテンの両方のスペースが、壁に接するように引いているかなどに注意して利用してみよう。
 使い方に留意するのはもちろんなのだが、このシャワーカーテン、何も考えずに最初から取り付けられている物を使っていないだろうか?
最初から取り付けられている物が、水漏れを防止するに十分な物であれば良いのだが、そうで無いのなら交換してしまうことをお勧めしたい。
長さが十分であるか(湯船の内側に20センチ程度は飛び出しているのが望ましい)、幅が十分であるか、お湯をかけたときに湯船の内側に張り付くような材質であるか。このような点を考慮して選ぶと良いだろう。

浴室に入る前の準備を万端に整える


 水漏れを防止するための最大の対策は、入浴中にシャワーカーテンを開けないことである。これは、水漏れのみならず、冬場の寒さ防止にも大変有効である。
浴室内で必要とする物の内、水に濡れても良い物は、湯船に事前に入れておくと良いだろう。これによって、不要にシャワーカーテンの外に手を出す機会が激減し、シャワーカーテンの外に手を出した際にうっかりシャワーから出ている水が外に漏れてしまうことを防ぐ。
また、水浸しの手を外に出して振り回すことによる水の飛散も防止できる。
 浴室内で使用する物の内、髪の毛を拭くための乾いたタオルなど、水に濡れてはいけない物については、シャワーカーテンから手だけを出して、すぐに取り出せるような位置に置いておく。できれば、シャワーを出していない状態で、手だけで物を取れる位置を探しておくと良いだろう。

入浴中のシャワーノズルの向きに注意する


 いくら良いシャワーカーテンと言っても、シャワーカーテンは所詮カーテンであり、前後左右に隙間ができてしまうのを完全に防ぐことは困難だ。
そこで、水そのものをカーテンの方角に飛ばさないように、体を壁よりにして、シャワーカーテン側から壁の方に向かってお湯をかけるように心がけよう。シャワーカーテンが汚れてきたときは、入浴中に中側から水で洗い流さず、後で取り外して洗うようにするのも効果的だ(そもそもそういう横着なことをしていたのは筆者ぐらいか?)。

バスタオルを使う前に乾いたタオルで体を拭いてから出る


 頭を洗った後に頭を拭くための乾いたタオルを用意するのは一般的だが、もう1枚、湯船の中で体を拭くためのタオルも逢わせて用意しておこう。
バスタオルを湯船の中に持ち込むと、せっかくのバスタオルが濡れてしまって気持ちが良くないが、バスタオルの前のいわば中間タオルとでも言うだろうか、そういう物を用意しておくと、湯船から出る際のトイレスペースへの水漏れを防止できる。

ユニットバスを快適に利用するためのその他の工夫


寒い日は事前にシャワーを出しておく


 冬場の寒い日は、洋服を脱ぐ前に、シャワーカーテンをしっかり閉めて、湯船の上側に固定されたシャワーから、熱めのお湯を3分ぐらい出しておくと良いだろう。
こうすることで、入る頃にはすっかり浴室内をシャワーの湯気で暖めておくことができる。
次に、シャワーの温度を少々高めに設定しておくことをお勧めしたい。体を洗い終わった後、温かな湯で体の芯まで温めることが難しい以上、外側からだけでも少々熱めのお湯で暖めておくことで、湯上がりの寒さを多少なりとも軽減することができるかも知れない。

終わりに


 以上、筆者なりにユニットバスを快適に利用するためのいくつかの対策を照会してきたが、いかがだっただろうか。
これらの対策が、ユニットバスに不満を感じている方にとって、少しでも参考になればと願っている。
 浴室とトイレが別々であることは、意外と重要であり、ユニットバスを利用したことの無い人がこれを利用すると、多くの不満を感じる物である。
もし、引っ越し先の物件を探している方が本稿をお読み頂いているのであれば、ユニットバスに多少なりとも違和感があったら、その時点でバストイレ別の物件を探すことをお勧めしたい。


雑文コーナーに戻る

エッセーコーナーに戻る

トップページに戻る